労災保険率が改定(平成27年4月1日から)

平成26年12月15日に厚生労働省から「労災保険料算出に用いる労災保険率の改定等」について発表がありました。改定のポイントは下記3点です。


  1. 労災保険率の改定
  2. 労務費率の改定
  3. 請負金額の取扱いの改正及び労務費率の暫定措置の廃止


それでは詳細を見て行きましょう。

1. 労災保険率の改定

労災保険の保険関係が成立している事業の事業主は、労災保険料を納付しています。この労災保険料は、労働者に支払う賃金総額に労災保険率を乗じた額となります。 ※労災保険の詳細はこちらをご覧ください
(雇用保険の保険関係も成立している場合は、賃金総額に労災保険率と雇用保険率を加えた率を乗じた額を労働保険料として納付します。)
今回の改定は、この労災保険率に関するものです。

保険率は引き上げになる業種も

労災保険率は 54 業種について定められていますが、その内今回の改定で保険率引下げとなるのが 23 業種、引上げとなるのが8業種、現状と変更の無いものが 23 業種となります。

引下げとなる業種の労災保険率  (単位: 1/1,000)

業種 現行 改定後
海面漁業 20 19
定置網漁業又は海面魚類養殖業 40 38
原油又は天然ガス鉱業 5.5 3
採石業 58 52
水力発電、ずい道等新設事業 89 79
道路新設事業 16 11
舗装工事業 10 9
鉄道又は軌道新設事業 17 9.5
建築事業 13 11
機械装置の組立て又は据付けの事業 7.5 6.5
その他の建設事業 19 17
パルプ又は紙製造業 7.5 7
化学工業 5 4.5
ガラス又はセメント製造業 7.5 5.5
非鉄金属精錬業 7 6.5
金属材料品製造業 7 5.5
輸送用機械器具製造業 4.5 4
貴金属製品、装身具、皮革製品等製造業 4 3.5
その他の製造業 7 6.5
港湾貨物取扱事業 11 9
港湾荷役業 16 13
清掃、火葬又はと畜の事業 13 12
船舶所有者の事業 50 49


引上げとなる業種の労災保険率  (単位: 1/1,000)

業種 現行 改定後
石灰石鉱業又はドロマイト鉱業 19 20
その他の鉱業 25 26
繊維工業又は繊維製品製造業 4 4.5
木材又は木製品製造業 13 14
金属精錬業 6.5 7
鋳物業 17 18
農業又は海面漁業以外の漁業 12 13
倉庫業、警備業、消毒又は害虫駆除の事業又はゴルフ場の事業 6.5 7

 

また、一般保険料だけでなく一人親方等の特別加入に係る第二種特別加入保険料率、海外派遣者の特別加入に係る第三種特別加入保険料率についても改定されます。


  • 第2種特別加入保険料率:全 18 区分中、引下げとなるのが8区分、引上げとなるのが5区分
  • 第三種特別加入保険料率: 4/1000 から 3/1000 に引下げ

2. 労務費率の改定

労務費率とは、請負による建設の事業に係る賃金総額の算定に当たり請負金額に乗ずる率のことです。改定内容は下表の通りです。

変更となる労務費率  (単位:%)

事業の種類 現行 改定後
水力発電施設、ずい道等新設事業 18 19
鉄道又は軌道新設事業 23 25
建築事業(既設建築物設備工事業を除く。 21 23
既設建築物設備工事業 22 23
機械装置の組立て又は据付けの事業
(組立て又は取付けに関するもの)
38 40
機械装置の組立て又は据付けの事業
(その他のもの)
21 22
その他の建設事業 23 24

 

3. 請負金額の取扱いの改正及び労務費率の暫定措置の廃止

労務費率の改定に際し、請負による建設の事業に係る賃金総額の算定基礎となる請負金額は、消費税額(地方消費税額を含む)を含まないものとなります。また、労務費率に係る暫定的な取扱い(賃金総額の算定に当たり、請負金額に105/108を乗じて得た額に所定の労務費率を乗ずるとしていたもの)が廃止されます。