企業は「早期離職率」をどう見ればよいか
「ブラック企業=若者を使い捨てにする企業」との特徴から、新卒者が入社後3年以内に離職する「早期離職率」に関心が集まっています。
企業においても、「ブラック企業」とのレッテルを貼られるのは避けたいところですから、どの程度の離職率で「高い」とされるのかが気になります。
東洋経済新報社が運営するインターネットサイト「就職四季報プラスワン」では、「入社3年で3割が目安」とされています。
新卒者の早期離職率の推移
厚生労働省の「新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移」によれば、1987年から2008年までにおいて、大学新卒者の早期離職率が最も低かったのは1992年の23.7%、最も高かったのは2004年の36.6%で、平均で約31%です。
この結果を踏まえると、上記の「3割」という割合は妥当とも思われますが、業界そのものが成長途中にあり、人材も流動的であるような企業の場合には、クリアすることが難しいところもあるかもしれません。
求人倍率から新卒者の早期離職率を予測する
年によって早期離職率が異なることから、次に気になるのは近年の新卒者の傾向ですが、これについては「労働市場の世代効果に関する研究」の結果が参考になります。
これは、性別、学歴、卒業年等によって区分されたグループが、賃金や採用、離職等にどのような影響を受けるかを研究したものですが、それによると、求人倍率が低い時期に就職した世代ではミスマッチが発生しやすく、離職率が高くなるそうです。
実際に、リーマンショック後の2010年の新卒就職者の3年以内離職率は31.0%と、6年ぶりに前年度を2.2ポイント上回る結果となっていることから、企業にとっては、社員の定着率向上に向けた一層の取組みが重要となるかもしれません。