世間を賑わすキーワードに
昨年末、「新語・流行語大賞トップテン」(ユーキャン)に『ブラック企業』が選ばれましたが、それに続き、日本の政治・経済・社会・文化・国際関係等をめぐる優れた論考を顕彰する「大佛次郎論壇賞」(朝日新聞社)に、『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』(今野晴貴著/文春新書)が選ばれました。
学生から見た「ブラック企業」
株式会社日経HRと株式会社ディスコが今年1月に共同で実施した「2015年度 日経就職ナビ 学生モニター調査」(調査対象:来年3月卒業予定の大学3年生)では、「ブラック企業だと思う条件」を尋ねたところ、次のような結果となりました。
(1)残業代が支払われない(75.0%)
(2)労働条件が過酷である(65.0%)
(3)離職率が高い(58.0%)
(4)成果を出さないと精神的に追い込まれる(55.7%)
(5)募集条件と実働が著しく異なる(53.9%)
(6)セクハラ、パワハラがある(50.6%)
(7)給与金額が低すぎる(48.3%)
なお、この調査で「ブラック企業の就職試験は受けない」と回答した学生は62.5%に上りました。
学生が気になる「離職率」「平均勤続年数」
また、別の調査(2015年卒マイナビ学生就職モニター調査)では、学生が就職活動を進めるにあたって企業に公開してほしいデータして、「離職率」(59.4%)、「平均勤続年数」(51.6%)が上位にランクインしており、「ブラック企業」を念頭に置いていることがうかがえます。
労働条件などの見直しが必要
仕事は楽なことばかりではありませんし、実績のない新入社員を初めから好待遇で迎える企業ばかりではありませんが、労働条件が著しく劣悪な企業や、社員を使い捨てるような発想のある企業には、今後、人が集まらなくなる傾向が強まるでしょう。
厚生労働省も、若者を積極的に雇用・育成する企業については「非ブラック企業」のお墨付きを与えたり(若者応援企業宣言事業)、ハローワークを通じて大学生を採用する企業に対し離職率の公表を求めたりといった対策を講じています。
社員を採用するにあたり、今一度、自社の労働条件や労務管理体制について見つめ直してみてはいかがでしょうか。