「インターンシップ」の実施状況と留意点

経団連から、新卒採用(2013年4月入社)に関するアンケート調査の結果が公表されました。このアンケートは会員企業1,301社に対して実施され、583社(回答率44.8%)が回答しています。

このアンケート結果からは、企業の採用選考時に重視する要素、学事日程の尊重への対応策などがわかるとともに、インターンシップの実施状況がうかがえます。

インターンシップについて、「既に実施している」(58.5%)と「今後は実施する予定である」(14.2%)との回答を合わせると7割以上となり、多くの企業で実施されているようです。

また、2011年度と比較した受入れ人数が増加した企業、現在と比較した受入れ人数を増やしていく企業が、ともに3割近くあります。

今後の課題

今後、学生の受入れ人数を増やしていくうえでの課題として、次のような回答がありました(複数回答)。

  • 従業員のインターンシップへの理解を深めること(57.8%)
  • プログラムを企画・運営できる従業員を確保・育成すること(48.6%)
  • 採用選考活動の実施時期が後ろ倒しにより、夏季の受け入れが難しくなること(46.5%)
  • 実施要件(5日間以上、職場への受入れ等)が厳しいこと(39.2%)
  • コスト負担が大きいことに比べて、受け入れのメリットが少ないこと(28.1%)
  • 大学のキャリアセンター等と連携し、応募者数を増やしていくこと(23.6%)

 

企業側の人手の確保や職場の理解、採用活動解禁日の後ろ倒しによる影響等、インターンシップを実施する企業側にも課題が多いようです。

インターンシップの留意点

企業や学生にとってメリットや課題のあるインターンシップですが、インターンシップに参加する方が労働者に当たる場合は、労働関係法規の適用があることに注意が必要です。

労働者と見なされる場合には、賃金その他の労働条件に関して、労働基準法、最低賃金法等の法令が適用されます、さらに、万が一、実習中に事故が発生した場合などには労災保険法の適用がありますので、留意する必要があります。

また、インターンシップの進展により、学生による企業に対する損害(機密情報の漏洩、機器の損壊等)などが発生するリスクも増加していますので、参加する学生・学校・受入れ企業の間で、こうしたリスクに対応する保険への加入状況等を明確にしておいたほうがよいでしょう。